いい映画に出会えた

 

映画「嫌われ松子の一生」を観ました


Memories of Matsuko (嫌われ松子の一生 - Tetsuya Nakashima - Japan, 2006) Trailer

 

12年前の映画だったが

とてもいい映画だった

重苦しい話のはずなのに、後味の悪さはなく、

あえてポップな感じで作り方をしていたので終始楽しめた

 

 

ネタバレも含まれると思うので、これから見ようと思っていた人は要注意

 

 

あらすじ

 

東京でミュージシャンを目指す川尻しょう(瑛太)は父親から、亡くなった叔母である川尻松子(中谷美紀)の部屋の掃除をするよう頼まれる。


松子は河原で何者かに殺され、53歳という短い人生を終えたとのことだった。


しょうは嫌々ながら、ゴミ屋敷のような松子の部屋を掃除していると、松子と関係のあった者達と出会い、松子の壮絶な生涯を聞くこととなる。


厳格な父(柄本明)の元、何不自由なく子供時代を過ごした松子。しかし大好きな父は病弱な妹(市川実日子)につきっきり。


父親に気に入ってもらいたい一心で教師となり中学校に赴任するも、修学旅行での生徒の万引き騒ぎを収めるため自分が罪をかぶり退職。家族からの縁を切られ家を出ることで、松子の人生は転落を始める。


DV男との同棲、男の自殺。ひもに裏切られ逆上、その男を殺害。次から次へと悲惨な男と付き合う松子。最後はかつて修学旅行で万引き騒ぎを起こした不良の生徒と同棲する。


やくざの一味となっていたその男(伊勢谷友介)は組織の金を盗み、身を追われ、警察に保護してもらうため再び刑務所に入る。


一途に男を待つ松子。しかし、松子を思う男は、「松子を忘れることが、松子のためだ」と判断し、出所後松子を拒絶する。


絶望した松子は、「もう誰も信じない。誰も愛さない。誰も私の人生に立ち入らせない」と引きこもり生活を始める。


そんな松子がなぜ殺されることとなってしまったのか。誰に殺されたのか。
そして、彼女の人生は本当に不幸だったのか・・・

 

感想

 

題名には「嫌われ」と書かれていたが、松子本人からしたら良かれと思ってやっていたことが裏目に出てしまって、結果的にそういう風に見られてしまっていた

そんな不器用な人の物語だったと思います。

でもそうだとしても、なんでそんなに自分から不幸を引き寄せていくのだろう?それも何度も何度も

「えっ!?なんでわざわざそっちにいくの」って何回も思いました(笑)

一見するとまじめでまっとうな道を進みそうなのに、、、

あ、でもそれじゃ映画として成り立たないか

 

でも松子がそうなってしまった根本的な原因は、幼少期のころのトラウマにあります。

松子が幼少の頃、妹は体が弱く病気がちであった。その為、松子の父親は妹ばかりを可愛がったんですね。それも極端に。なんの罪の意識もなく。
この時の「お父さんから愛されなかった。」という、とてつもなく深い心の傷が、
「誰かに愛されたい」「誰かに愛されている実感が欲しい」という、とてつもなく強い潜在的な欲求に変化していったのだと思います。その思いがダメ男に依存させてしまったのです。

でもいくらでも抜け出るチャンスはあったんですよ

親友が何度も手を差し伸べてくれたりしていた

彼女自身の親友に対する嫉妬から、手を振り払ってしまっていた

その手を取ってしまうと自分が今の自分から変わってしまうという恐怖のようにも感じました。

 

その心の傷を、分かりやす過ぎるくらい、とてつもなくはっきりと示した映画。

 

見ている最中、ちょっと前に見た映画「ボヘミアンラプソディ」のフレディ・マーキュリーを思い出しましたね
だからフレディも「愛せる人をください」って歌ったのだろう、生きる意味が欲しかったんだと思う

 

小さい頃のトラウマが大人になってもある、という人は結構いるんじゃなかな(勝手な推測ですけど)

無意識のうちに刷り込まれてしまった癖とか

僕だったら過剰に人の顔色うかがってしまってたとかね

 

その癖が松子は変顔に出てしまっていた

父親の気持ちを、自分自身に向かせるためにやっていた変顔がそのまま大人になっても抜けなくなってしまって、何かあるごとに変顔をしてしまう。

 

でもほんとはお父さんも松子のこと愛してたのに昭和の堅物親父で不器用だっただけっていうのは帰省のシーンでわかる

不器用だから変化球とか投げられない直球勝負するしかない親子は実は愛に溢れていた

いくら直球しか投げれないからって、配球もっと変えようぜって思ったりする

上にも書いたがそこ投げたら打たれるにきまってるじゃん!!

 

 

それでも、偶然病院で再会した親友に一緒に仕事をしようと声をかけられ「やれるわ、私まだやれる」と死ぬ直前に人生に対し希望を抱いていたことが唯一の救いでした。

今までとは違い全く相手を求めず松子の魂から出た言葉だったと思おう
でも夜遅いから帰るように注意した河原の中学生達に殴り殺されるというのは、あっけなかったですけどね・・・

 

そして最後の最後、松子が実家の家族に「おかえり」と笑顔で迎えられるシーン。他者からの愛を求めすぎるが故の転落人生。

やっぱり松子が1番欲しかったのって、家族からの愛だったんでしょうね。


切なくも愛おしいラストでした。

 

嫌われ松子の一生は」不幸を描いた映画だったのか

 

僕は違うと思おう

 

幸せとか不幸とかってのは自分の尺度でいくらでも変わる

観る人によっても変わるし

でも常に全力で精一杯生きた松子は、決して自分の人生は不幸だったなんては言わないと思う

 

 

 

ここまで読んでくれてありがとう

それではまた